ぐうたら魔女ホーライ来る!

 

【内容】

ある日、魔女のホーライが別世界からサヤの町にやって来る。行方不明になった姫を探しにきたという。魔法がヘタなうえに食いしんぼうで、すぐになまけるホーライを見かねて、サヤは同級生いちぼんらの力を借りて、姫の探索に奮闘する。「魔女が相棒シリーズ」のサヤとホーライの迷コンビが再び活躍する一冊。

【読書メモ】

◯ホーライのアバウトさが、サヤをしっかりものにさせるのは、舞台が人間世界でも変わらない。前のシリーズを読んでいなくても、同級生のいちぼんへの事情説明でこれまでの経緯が大体わかるようになっています。

◯ホーライをどう見るかは読み方によりますが、こういう大人がいたらヤダなとか、ウチのお母さんやおばさんってこんなんだよなとか、を思いつつ主人公・サヤと自分を重ねあわせながら読んでしまいます。挿絵で描かれるホーライも、「魔女が相棒!?」シリーズの1作目に比べると、あきらかにミステリアスさ具合が減ってきて、魔女というより、作中に登場する中華料理店のおばさんがホーライなんじゃないかと錯覚してしまいそうです。

◯あまりにも人間くさい、ホーライの怠惰さは憎めないものです。意外と自分の身近にこういう人や自分の中のこういう側面を見つけてみるのも面白いかも。しかし物語で魔法を駆使して、というよりは、不完全な魔法をツールとして工夫して問題解決に使おうという、サヤたち人間の健気さを感じずにはいられません。

◯意外にも同級生の「いちぼん」が、姫探しに一役買っていて活躍したり、サヤもラストで大きな決断をしたりして、子どもたちの自立が描かれる点で好感をもちました。